「人手が足りない」「AIに仕事を奪われるのでは」──介護のニュースを見るたびに、そんな不安がよぎる方も多いのではないでしょうか。実は今、現場で起きているのは少し違う動きです。今日は郡山市で通所介護(デイサービス、ご自宅から通っていただく介護サービス)を運営する私たちの視点から、介護業界のAI活用の「今」をわかりやすくお伝えします。
介護職員不足はどこまで深刻か──2026年の数字が示すもの
厚生労働省の推計では、2026年度に必要となる介護職員数はおよそ240万人とされています。一方で、2023年には介護職員の数が調査開始以来はじめて減少に転じたという報告もあります。働き手が増えるどころか減っている中で、必要な人数だけが増えていく。これが今、介護業界全体が向き合っている現実です。
私たちが運営する郡山市のデイサービスも、決して例外ではありません。求人を出しても、なかなか応募が集まらない時期が続くこともあります。だからこそ、限られた人数で質の高いケアを届けるための工夫が欠かせません。
現場が直面している主な課題
- 記録・書類作成にかかる時間の多さ
- お一人おひとりに合わせたプログラムづくりの負担
- 経験の浅いスタッフへの指導コスト
これらはどれも、「人を増やせば解決する」という単純な話ではありません。
生成AI(文章や提案を自動でつくる仕組み)は現場をどう変えるか
最近、介護業界では生成AIの活用が一気に広がっています。ある報道では、AIの活用によってケアプラン(お一人おひとりに合わせた支援計画)の作成や書類整理にかかる時間を9割ほど減らせた事例が紹介されていました。国もこの流れを後押ししており、介護テクノロジーの導入や研修のためにおよそ300億円規模の予算を確保する動きも進んでいます。
私たちも、ICT(情報通信技術)やAIは「現場を楽にするための道具」だと考えています。道具そのものが目的になってしまっては本末転倒です。AIが記録や分析を引き受けてくれるからこそ、スタッフはご利用者の顔を見て話す時間を増やせます。機械にできることは機械に任せ、人にしかできないことに人の力を使う。それが私たちの基本的な考え方です。
私たちが大切にしているのは「その先」にあるもの
私たちは、介護はエンターテインメントだと考えています。ご利用者に楽しんでいただくことこそが、ケアの原点だという意味です。どれだけAIが発達しても、「今日も来てよかった」と思っていただけるかどうかは、最後はスタッフ一人ひとりの関わり方にかかっています。
だからこそ私たちは、スタッフの役割を決められた仕事だけに押し込めず、枠を取っ払って、それぞれの得意なことを活かせる環境をつくりたいと考えています。挨拶・感謝・時間を守ること・素直さ・向上心。当たり前のことを当たり前にできる土台があってはじめて、AIのような新しい道具も生きてきます。
最澄の言葉に「一隅を照らす」というものがあります。自分の持ち場で、目の前の一人を大切にすることが、やがて社会全体を照らす光になるという意味だそうです。AIがどれだけ普及しても、目の前のご利用者お一人おひとりを照らすのは、やはりスタッフです。
二宮尊徳が説いた「一円融合」──立場の違う人同士が力を出し合い、地域全体を豊かにしていくという考え方も、私たちが大切にしている軸のひとつです。ご利用者、ご家族、地域の医療機関、そして私たちスタッフ。それぞれの立場が力を合わせることで、はじめて質の高いケアが成り立ちます。そこには、武士道でいう「義」(正しさを貫く心)や「仁」(相手を思いやる心)、「礼」(相手を敬う振る舞い)にも通じるものがあると私たちは考えています。
まとめ
AIが人材不足を「解決」してくれるわけではありません。ですが、AIを味方につけることで、スタッフがご利用者と向き合う時間を増やせるとしたら──それは十分に希望のある変化だと思いませんか。皆さんの周りの介護の現場でも、同じような変化が起きているかもしれません。
はなひろからお伝えしたいこと
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