「うちの利用者さんの記録は、ちゃんとデジタル化されているんですか?」——見学にいらした方から、こんな質問をいただくことがあります。実は今、全国のデイサービスの4分の3ほどが、すでにICT(介護記録や情報共有をデジタル化する技術)を導入しています。ただし、導入した事業所のうち「負担が軽くなった」と実感しているのは半数に届きません。数字だけを見ると意外に思われるかもしれませんが、この差はどこから生まれるのでしょうか。私たちなりに考えてみました。
ICT導入率75.4%、それでも「楽になった」は49.4%という現実
公益財団法人介護労働安定センターの令和6年度介護労働実態調査によると、介護記録やケアプラン(利用者ごとの支援計画)の作成・共有にICTを日常的に使っている事業所は75.4%にのぼります。ところが、日中の業務が「楽になった」と感じている事業所は49.4%、夜間の業務にいたっては44.6%にとどまるという結果も出ています(2026年8月、株式会社ライフシフトが同調査データをもとにした資料を公開)。
つまり、道具を入れることと、現場が実際に楽になることは、必ずしもイコールではないということです。記録の入力そのものがゴールになってしまうと、かえって「打ち込む手間」だけが増えてしまう。そんな声を、業界の中でも耳にすることがあります。私たちも同じ介護の現場に立つ者として、この差はとても他人事とは思えません。
ICTが「使える」状態になっているかを見る3つの視点
- 入力した記録が、ケアの振り返りや次の支援にちゃんとつながっているか
- 現場スタッフの経験や判断と、うまく組み合わさっているか
- 人手が薄くなる夜間や忙しい時間帯でも、無理なく使える設計になっているか
この3つがそろってはじめて、ICTは「入れて終わり」ではなく「使えている」状態になるのだと思います。
「道具」と「目的」を取り違えない
私たちはかねてから、ICTやAI(人工知能)は現場を楽にするための道具であって、それ自体が目的ではないと考えてきました。郡山市台新の「ポエム開成」でも、郡山市賀庄の「ポエム郡山賀庄」でも、データを集めることそのものはゴールではなく、そのデータをどう現場スタッフの判断と組み合わせて、目の前の利用者さんに還元するかを大切にしています。枠にとらわれず、スタッフ一人ひとりが「今日、この方には何が必要か」を考えられる環境があってはじめて、道具は力を発揮すると私たちは考えています。数字やデータは、現場の経験を置き換えるものではなく、支えるものだと思うのです。
選ぶ側にとって、何を見ればいいのか
デイサービスを選ぶとき、「ICT導入済み」という言葉だけで安心してよいのでしょうか。大切なのは、その仕組みが実際にどう使われ、利用者さんやご家族にどんな形で返ってきているかだと私たちは思います。見学の際に「記録したデータをどう活かしていますか」「スタッフの方はそれをどう使っていますか」と聞いてみるのも、ひとつの目安になるはずです。郡山市内には、リハビリの専門性を軸にした事業所もあれば、地域に根ざした一日型の温かさを大切にする事業所もあります。ご自身やご家族の暮らし方に合う場所を探すヒントにしていただければと思います。
まとめ
数字の裏にある「現場の実感」まで見えると、介護のニュースはぐっと身近になります。もしデイサービス選びで迷うことがあれば、数字だけでなく、実際の現場の空気にも目を向けてみませんか。
はなひろからお伝えしたいこと
私たちは、地域と共に育ち、貢献することを大切に、日々の現場に向き合っています。ICTやAIも、あくまで利用者さんの笑顔のための道具のひとつです。ご相談やお問い合わせはお気軽にどうぞ。なお、採用情報は弊社ブログの月曜・日曜の記事をご覧ください。
介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県須賀川市・郡山市・矢祭町でデイサービスなどの介護事業所を運営しています。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。
